8月の夕方に外へ出ると、草の上をふんわりと光る小さな点がただよっているのが見られます。今、「Alitaptap(アリタプタップ)」のコミュニティのメンバーが、地図のあちこちにホタルの目撃情報を集めています。2026年8月5日には、ウィスコンシン州ブラウン・ディアやミシガン州アーン・アーバーでコモン・イースタン・ホタルが目撃されました。ニュージャージー州のホップコトング湖のまわりや、ニューヨーク市の混み合う公園でも見つかっています。もっと遠くでは、カンザス州やケンタッキー州のスニーク・エルフ、コロラド州のダーク・ホタル、フランスのヨーロッパ・グロウワームの報告もありました。
小さな光を見つけると、思わずワクワクしてしまいますよね。懐中電灯をつかんで庭に飛び出し、スマホでパパッと写真を撮りたたくなるかもしれません。でも、ちょっとだけ待ってください。ホタルの探し方によって、虫たちにとっては大違いなのです。突然のまぶしい白い光は、ホタルたちの夜を台無しにしてしまいます。お相手のホタルを見つけられなくなってしまうことだってあるのです。
幸いなことに、ホタルをまったく傷つけずに、見たり写真に撮ったりする方法はちゃんとあります。必要なのは、少しのがまん、正しい道具、そして夜の正しいマナーだけです。
ホタルが暗闇でおしゃべりする方法
ホタルは、ただきれいだから光っているわけではありません。彼らのピカピカ光るのは、ちゃんとした言葉なのです。オスのホタルは飛びながら、決まったパターンで光ります。種類ごとに違う暗号のようなものです。たとえば、コモン・イースタン・ホタルは、光るアルファベットの「J」のような形を描きながら飛びます。
メスのホタルはたいてい、草の上や地面の近くの葉っぱにとまったまま動きません。空を見上げて、お目当ての光の暗号を待っています。メスは自分の仲間だというオスの光を見つけると、決まった秒数だけ待ってから、ピカッと光り返します。するとオスはもっと近づいて、また光ります。こうして光でキャッチボールをしながら出会うのです。
このおしゃべりは、とても静かでデリケートなものです。完全な暗闇があってこそ成り立ちます。もし明るいものが突然わり込んできたら、ホタルたちはびっくりしてしまいます。暗い中では、お互いの光の合図が読めなくなってしまうのです。
まぶしい白い光が合図をじゃまする理由
人がいっぱいの騒がしい部屋で、友達にひそひそ話をしようとしているところを想像してください。そこに、すぐそばで大きな火災報知器が鳴り響いたとします。これでは友達の声なんてまったく聞こえませんよね。
ホタルにとって、白い懐中電灯やスマホのカメラのフラッシュは、まさにこれと同じです。白い光のビームは、まるで目がくらむような壁のようです。小さなホタルにとって、普通の懐中電灯の光は、自分自身の光の何千倍も明るいのです。
ホタルにまぶしい白い光を当てると、2つの困ったことが起こります。1つ目は、ホタルが光るのをやめてしまうことです。近くに天敵が来たのか、あるいは朝になってしまったのかと思ってしまいます。葉っぱの陰に隠れてじっとしてしまいます。たった1回の白いフラッシュで、お庭のホタルの光のショーが20分以上も止まってしまうことがあります。
2つ目は、白い光でホタルが一時的に目が見えなくなってしまうことです。ホタルの目は、暗い影の中でかすかな光を見るようにできています。突然のまぶしい光は、彼らの目をびっくりさせてしまいます。目が回復するまで、草むらで待っているお相手のぼんやりした光を見つけることができません。もしホタルがまぶしい光から隠れるばかりで短い大人時代を過ごしてしまったら、次の世代の卵を産むことができなくなってしまいます。
赤い光と「夜の目」の魔法
ホタルを見るために、何にも見えない暗闇を手さぐりで歩く必要はありません。光の色をかえればいいのです。
人間の目には、ものを見るための2つの主なやり方があります。昼間は、きれいな色とはっきりした細部を見ることができます。暗いところでは、「ロドプシン」という物質を使った別のシステムに切り替わります。暗闇の中でこの物質がたまるには、20分から30分ほどかかります。一度たまると、道や木、光る虫たちが驚くほどよく見えるようになります。科学者たちはこれを「暗順応(あんじゅんおう)」と呼んでいます。
もし白い光を目に当ててしまうと、その夜のための物質が一瞬でこわれてしまいます。目はゼロからやり直しになり、また暗闇に目が慣れるまで30分待たなくてはなりません。
赤い光はちがいます。人間の夜の目は、赤い光にはあまり敏感ではありません。やわらかい赤い光なら、夜の目がこわれずに、どこを歩いているのか見ることができます。さらにうれしいことに、ホタルも赤い光があまり見えません。ホタルたちの目は、自分たちの光や夕暮れの空の色である、黄色、緑、青の光に合わせられています。赤い光なら、彼らの秘密の光の会話をじゃますることなく、そのまま通り過ぎていきます。
赤い懐中電灯は、お家で簡単に作れます。普通の懐中電灯のガラスのレンズの部分を、赤いセロハン紙でおおえばいいのです。上から輪ゴムでしっかりとめましょう。赤いテープや赤いプラスチックラップを使っても大丈夫です。アウトドア用のヘッドライトには、最初から赤いライトに切り替えられるものもあります。夜の外に出る前に、必ずその設定にしておきましょう。
スマホでホタルをきれいに写すコツ
ホタルは小さくて暗い中をすばやく動くので、写真を撮るのはむずかしいです。カメラのフラッシュをオンにすると、草とびっくりした虫が写るだけで、ホタルの光はすっかり消えてしまいます。
普通のスマホできれいな写真を撮るには、次のコツを試してみてください。
まず、フラッシュを完全にオフにします。カメラアプリにある稲妻のマークを探して、「オフ」になるまでタップしましょう。「自動」のままだと、暗さに気づいたスマホがすぐにフラッシュを光らせてしまいますから、気をつけてくださいね。
次に、スマホをしっかり固定します。暗いところでカメラが撮影するときは、光を集めるためにシャッターを開いている時間が長くなります。手が少しでもブルブル震えると、写真がぼやけてしまいます。スマホをフェンスの柱や木のベンチ、小さな三脚にのせましょう。自分のひじをわき腹にしっかりつけて、手が動かないようにするのもいいですね。
3つ目は、カメラの設定で「夜景モード」や「マニュアルモード」をチェックすることです。最近のスマホには、2秒や3秒かけて自動で光を集める夜景モードがついているものがたくさんあります。もし露出の時間を自分で変えられるなら、3秒か5秒にセットしてみましょう。その間、すべてのホタルの光が、写真の中に明るい線や点として残ります。
4つ目は、ピントを固定することです。真っ暗な中では、カメラはピントを合わせるのが苦手です。画面の遠くの光や、はっきり見える木の幹をタップしてから、指を長押ししてピントのきょりを固定しましょう。そうすれば、まわりでホタルがパチパチ光っても、カメラがピントを探し続けてしまうのを防げます。
ホタル観察のトレイル・ルール
ホタルを見に出かけるときは、彼らのお家におじゃましているんだということを忘れないでくださいね。まわりの人や虫たちといっしょに楽しむためには、よいマナーが大切です。
決まった小道や、草のない歩きやすい場所を歩きましょう。メスのホタルの多くは、まったく飛びません。落ち葉のあいだや、低いしげみ、しめった草むらにいます。カタツムリや柔らかい虫を食べる子供のグローブ(幼虫)も、しめった土の上の地面に住んでいます。もし道から外れて背の高い草むらに入ってしまうと、知らず知らずのうちにメスや幼虫をふんでしまうかもしれません。
スマホの画面は暗くしておきましょう。動画を見たりメッセージを送ったりしている明るいスマホの画面は、足もとにいるホタルをジャマするのに十分な白い光を出してしまいます。画面の明るさをいちばん暗くするか、写真を撮る準備ができるまでスマホはポケットの中にしまっておきましょう。
ホタルをガラスのビンに入れないようにしましょう。ビンに入れて観察するのは夏の定番の遊びですが、せまいビンの中はすぐに乾燥してしまいます。手の熱でガラスが熱くなりすぎることもあります。ビンの中にしめり気がないと、ホタルは1時間もしないうちに水分がなくなってしまいます。ホタルたちが自由に飛んでいるところを、自分の目とカメラでそっと観察するほうがずっと安全です。
まわりの他の観察者たちにも思いやりを持ちましょう。人気の公園やホタルスポットに行くときは、小さな声で話してくださいね。観察エリアに到着したら、すべてのライトを消しましょう。まわりのみんなが暗闇に目を慣らす時間を作ってあげてください。
「Alitaptap(アリタプタップ)」に目撃情報を載せるときは、どんなところで光を見かけたかも書いてみてください。裏庭でコモン・イースタン・ホタルを見たときも、森の小道でめずらしい種類を見つけたときも、あなたの観察をきろくすることは、科学者たちがホタルの仲間が元気に暮らしている場所の地図を作るのに役立ちます。赤いライトを使って、暗闇の中でしずかに過ごすことで、虫たちにとっても、それを見つめる人間にとっても、夜の安全を守ることができるのです。