Firefly stories

どうしてわたしたちはホタルの歌をうたうの?

どうしてわたしたちはホタルの歌をうたうの?
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暗やみの中で歌う

街灯が街をてらすようになるずっとむかし、夜はほんとうに真っ暗でした。日が沈むと、家族はえんがわにすわったり、寝室の窓を開けてすずしい風を入れたりしていました。世界中のたくさんの地域で、大人は暑い夜に子どもを寝かしつけるため、かんたんな子もり歌をうたいました。そしてその歌には、庭を飛びかう小さな光る虫——ホタルがよく登場したのです。

フィリピンでは、ホタルのことを「アリタップタップ(alitaptap)」と呼びます。タガログ語などの古い伝統的な歌では、アリタップタップはやさしい友達のようにえがかれています。その光はこわいものではなく、しめった田んぼや川ぶち、バナナの葉のうえをフワフワとからだをかたむけて飛ぶ、やわらかな黄色や緑色のやさしい光でした。親たちは、暗がりをこわがる子どもたちを安心させるために、庭のうえを舞うホタルの歌をうたいました。

音楽は、むかしの人々が自然をどう感じていたかを教えてくれる「まど」のようなものです。古い歌の歌詞を見ると、ホタルが1年に1度だけ見かける珍しい虫ではなく、ごくあたりまえの日常の一部だったことがよくわかります。あたたかい雨がふり、果実が実るのとおなじように、人々は毎年夏になればホタルに会えると思っていました。

あまい水とホタルの歌

日本では、ほとんどの小学生が「ほたる来い」という有名なわらべ歌をならいます。「ほたる」はホタルのことで、「来い」は「こっちにおいで」という意味ですね。覚えやすいメロディーで、何世代もの子どもたちが、夕暮れのお散歩中にうたいついできました。

この歌は、こんな歌詞ですね。「ほ、ほ、ほたる来い、あっちの水はにがいぞ、こっちの水はあまいぞ、ほ、ほ、ほたる来い」

「あまい水」と「にがい水」というこのかんたんな歌詞は、じつはとても科学的な内容なのです。ホタルの幼虫は、地面や小川、池のほとりでくらしています。生きていくためには、しめった土ときれいな水が必要です。川が汚れたり有害な薬品が入ったりすると、水は生きものにとって住みにくい「にがい水」になってしまいます。汚い水の中ではカワニナや小さな虫が生きていけず、ホタルの幼虫は食べものを失ってしまいます。この古い歌は、きれいな水がある場所にホタルがあつまることを、わたしたちに教えてくれているのです。

むかしの日本のこどもたちは、草で小さなかごを作ったり、かるい紙ちょうちんを持ったりして、ホタルを間近でかんさつしました。歌をうたってホタルを呼びよせ、光るのをじっと眺めたあとは、かごを開けて夜空へ帰してあげていたのです。

古い歌が教えてくれる昔のくらし

アジアやヨーロッパ、アメリカ大陸の古い民謡は、人々がどれほど自然の近くでくらしていたかを示しています。昔の家のまわりには、草の生いしげった溝や小さな家庭菜園、雨水バケツ、背の高い雑草がたくさんありました。一見すると散らかったようなそんな場所こそが、ホタルにとって最高のすみかだったのです。

いまでは、多くの家の庭が短く刈りこまれた芝生になり、車道は舗装され、まぶしいライトが夜をてらしています。けれど、「アリタップタップ(Alitaptap)」のマップを見ると、ホタルのための場所さえ残しておけば、今でもホタルがわたしたちの近くでくらしていけることを市民科学者たちが証明してくれています。ちょうど今週の2026年8月13日、アリタップタップの観察者がペンシルベニア州ドーモントでCommon Eastern Fireflyを見つけました。同じ日に、ニューヨーク州ニューバーグでも別の人がホタルを発見し、ドイツではベルリン市内でEuropean Glow-worm(ツチホタルの一種)が記録されました。

また2026年8月13日には、スペインのルディエンテでMediterranean Pale Glow-wormが発見されました。これらの場所を見ると、何百年も前に古い民謡を作った人たちとおなじ虫を、いま街に住むわたしたちも見ているのだと気づかされます。

古い歌の歌詞には、ホタルがお気に入りのやすみ場所もよく出てきます。昼間は低く茂った葉のかげに隠れ、夕暮れになると背の高い草から飛び立つ様子がうたわれています。むかしの人たちは、ホタルを見るために遠くの自然保護区まで車で行く必要はありませんでした。ちょっと庭に出ていくだけで会えたのです。

ホタルが「夏」と「切なさ」をあらわす理由

どうしてホタルは、詩やちょっと切ない民謡によく登場するのでしょう? どうして楽しい歌ばかりではないのでしょうか?

その理由のひとつは、成虫になったホタルの命がとても短いからです。ホタルは一生のほとんど(長いと2年近く!)を、泥の中や樹皮の下で過ごす幼虫としてすごします。けれど、羽が生えて光りはじめると、成虫として生きられるのはたったの2週間から4週間ほど。大人としての短い一生は、夏が終わるまえに結婚相手を探すことであっという間に過ぎてしまいます。

ホタルが光る季節はあっという間に終わってしまうため、歌を作る人たちはホタルを「かけがえのない、一瞬の思い出」のシンボルとして使ってきました。ホタルの光は1秒もつきません。まばたきをしたら見のがしてしまうほどです。だからこそ、ホタルは幼いころの思い出や、離ればなれになった友達、夏休みの終わりをうたう歌にぴったりなのです。

この季節のうつりかわりは、いまアリタップタップのマップでも見ることができます。2026年8月12日、ニューヨーク州クーパーズタウンでWinter Firefly(フユボタルの一種)が報告されました。夏のホタルとはちがって、フユボタルは暑い8月の空で光ったりしません。彼らはもうすぐやってくる寒い季節にそなえて、暗い灰色のからだを樹皮になじませながら、木の幹で休んでいるのです。

少し離れた場所では、2026年8月11日、香港のカドゥーリ・ファームで Pygoluciola qingyu というホタルが、台湾ではRimmed Window Fireflyが観察されました。アルゼンチンやブラジルでも、Spotted Tortoise Fireflyが記録されています。ホタルは種類ごとに自分だけの「カレンダー」を持っています。その姿を見ると、時間の流れははやく、夏は永遠にはつづかないのだと思い出されます。

歌を未来へつないでいくために

古い子もり歌をうたったり、ホタルの物語を聞いたりするとき、わたしたちは何百年も前の人々とおなじ気持ちを分けあっています。車やテレビが発明されるずっとむかし、フィリピンや日本のこどもたちを驚かせたのとおなじ幻想的な光を、わたしたちも見ているのです。

けれど科学は、これらの歌を単なる昔話にしないために、ホタルがわたしたちの助けを必要としていることを教えてくれています。玄関の電気や街灯の人工的な光は、ホタルがお互いの光を見つけるのを邪魔してしまいます。芝生に殺虫剤をまくと、ホタルの幼虫が食べる土の中の小さな生きものが死んでしまいます。そして、湿った土をコンクリートでかためてしまうと、ホタルは卵を産む場所を失ってしまうのです。

あなたがアリタップタップに観察レポートを送るたびに、この生きた歴史を守る手助けになります。オハイオ州のフェア会場でCommon Eastern Fireflyを見つけたときも、フロリダ州でTropic Travelerを見つけたときも、フランスの村でツチホタルを見つけたときも、あなたの記録は「ここでホタルががんばって生きているよ!」と研究者たちに伝えてくれるのです。

夜は外の電気を消すこと、庭にすこしだけ背の高い草を残しておくこと、薬品をまかないこと。そんな小さなくふうで、夜空に本物のホタルの光を取りもどすことができます。そうすれば、次の世代の子どもたちも、古い歌の中で聞くだけでなく、自分の足で外へ出て、暗やみの中で舞うホタルの姿を見ることができるようになるはずです。

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Written with AI help from real firefly sighting data, then checked by a human before publishing.