イギリスのトンブリッジにあるしめった丸太のそばでヨーロッパツチボタルがやさしく光っているころ、ブラジルのポルト・セグ。ロのあたたかい空気の中ではAspisoma lineatumがピカッと光っています。こんなことが、世界中で同じ秋の1週間のあいだにおきているのです。ホタルの科学は、世界中をつなぐ大きなパズルのようなもの。科学者たちは、ホタルがいつ、どこにあらわれるかを調べることで、季節の変化が彼らのくらしにどんな影響をあたえているのかを追いかけています。「Alitaptap」という場所では、世界中の市民科学者たちが発見したホタルの情報を共有しています。きみも今夜、近所で光る虫やその子どもを見つけて、きろくすることで仲間に入ることができますよ。
世界中の季節を追いかけよう
地球は少しななめに傾いてまわっています。この傾きがあるおかげで、北の半分と南の半分では、反対の季節がやってきます。カナダやヨーロッパの一部が肌寒い秋のとき、ブラジルやホンジュラスなどはあたたかい春になります。ホタルたちは、こうした気温の変化をちゃんと感じ取っています。オンタリオやニューハンプシャーのような北の涼しい地域では、寒さに強いフユボタルのような虫たちが、空気がキリッ冷たくなっても元気です。一方で、あたたかい地域や南半球には、ブラジルのAspisoma physonotumやホンジュラスのCratomorphus signativentrisといった、まったくちがう種類のホタルがくらしています。彼らはそれぞれ、その場所の天気に合わせて生きているのです。
季節は、ホタル科のすべての虫の一生を大きく左右します。何か月ものあいだ地面の下で子どもとして過ごし、しめった落ち葉の中でカタツムリをさがす種類もいます。また、夏の夜がちょうどよいくらいにあたたかくなり、しめり気がでてきてはじめて、大人の姿になって外に出てくる種類もいます。市民科学者から集まった日付や場所のデータを調べることで、研究者たちは気温の変化がホタルの目覚めや飛行、そしてパートナー探しのタイミングにどう影響しているのかを学んでいるのです。
ステップ1: 虫がいそうな場所をさがそう
今夜の最初のステップは、外に出て、ホタルやその仲間たちがすみそうな場所をみつけることです。かわいたアスファルトの駐車場の真ん中をさがしてはいけません。そうではなくて、静かな庭のはしっこ、草がボーボーと生えている場所、またはしめった木材の山のかたわらに行ってみましょう。
どうしてここが大切なのでしょうか。ホタルには水分がとても必要なのです。体のやわらかい彼らは、風通しのよいかわいた空気にさらされると、すぐに乾いてしまいます。カタツムリやナメクジといった大好物も、しめった土や腐った木のなかまに隠れています。もしめった丸太の下や、ぬれた花壇のそばをのぞいてみたら、それはこの虫たちが食べ物や隠れ家をみつける場所をさがしているということなのです。
ステップ2: びっくりさせないようにそっと見守ろう
じっと動かずに、地面やすぐ上の空気を数分間見つめてみましょう。もし羽のある大人のホタルが飛ぶ地域にいるなら、光の点滅をさがしてみてください。秋にさがしているなら、羽のないメスのツチボタルが茎の上で休んでいたり、ゆっくりと土の上をはう子どもを見つけるかもしれません。
足もとをてらすときは、懐中電灯のスイッチを切るか、赤いフィルターでおおってください。まぶしい白いライトは夜行性の虫たちの目をくらませ、仲間との大切な合図のじゃまをしてしまいます。目を暗やみに慣らすと、虫のおなかの下の方にある特別な体でつくられた、ぼんやりとした緑色がかった黄色の光が見えてきますよ。
ステップ3: 見つけたことをきろくしてシェアしよう
ホタルや光る子どもを見つけたら、見たことをメモしてみましょう。正確な日付、天気、そして葉っぱの上で休んでいたのか、地面をはっていたのかをきろくします。もしきれいな写真が撮れたら、「Alitaptap」のようなみんなで使う地図に、その発見をのせることができます。
ひとつひとつのきろくが、科学者たちがホタルのすんでいる場所のルールを理解する助けになります。フランス、ロシア、アメリカ、そしてブラジルの人々が同じ日に自分の地域のホタルをきろくすると、世界中の生きもののようすがひと目でわかる写真のようなデータができあがります。本物の科学をするのに、高価な実験道具はいりません。必要なのは、好奇心と、暗いお庭と、身近な小さな生きものたちをよく見てみようという気持ちだけなのです。